全てをこの風に乗せて
茜色の空
学校の近くの公園で母の迎えを待っていた。


「ぁぁ…」


その音から少し離れたブランコにも
聞こえる呻き声。

頭を抱えるクラスメイトの男子がいた。



クラスメイトの名前と顔は全部わかる


えっと、あれは…高木くん。


少し得意気に名前を当てた。









高木くんは元気なイメージがある人だ。

あんな風に、苦しそうに悩むんだ…








両手で紙を持ってひらひらさせている。

「……あれは」

テストだ。今日貰った数学の!









私のことを知るクラスメイトはいないから

きっと、高木くんも私を知らない。










私は鞄からその紙を取り出す。

羽柴花織という丸い文字の横に

0と書かれたそれを。










でも、私は知ってる。

皆を少し遠くから見ていたから












自分の紙と高木くんを見比べて

「…私の点数より悪い人いないよね」

くすりと笑い、その紙を折る。

丁寧に折る。








元気に笑ってくれたらいいな









「綺麗に折れた♪」



紙飛行機はなかなかのできだった。
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