桜ノ蕾

「落ち着いたか?」

「はい……」



あれからしばらく体の水が全部出たんじゃないかってほど泣き続けた。
人前でこんなに泣くなんて今更ながら恥ずかしい。


ズッと鼻をすすって彼を見るとニヤニヤと私を見ていた。


「それにしてもずいぶんと子供のように泣いていたな」

「なっっ!」


カーと頬が赤くなる。



人が泣いてたのに普通笑う?!


「う、うるさいわね! からかわないでよ!」


そう声を荒らげると、彼はケラケラと笑い始めた。


「ちょっと!」

「それでいい」

「はぁ?」

「落ち込んで溜め込むよりそうやって出しきったほうが楽になるだろ」


いきなり何言ってるの?



「な?」


こてんと首を傾げながら彼は子供のように笑った。


面白がってるのか慰めてるのかよくわからない。
でも確かに叫んでちょっと楽になった気がする。

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