桜ノ蕾
え……?
彼の髪が頬をかすめる。
唇に今まで感じたことのない柔らかさを感じる。
「礼はこれでよい。ではまたな」
彼はそれだけで言って部屋を出ていった。
私はそんな彼を茫然と見つめたまま固まっていた。
今何された?
何か柔らかいものが唇に……
って、え?
「も、もしかしてっっ!!」
キ、キスされた?!
今あいつ私にキスしたの?!!
「う、嘘でしょーーー!!」
こんな時代で! 知らない男と!
しかもファーストキスだったのに!!
「ぁんの変態男ーーー!!」
親切なんてもってのほか!
やっぱりあいつはデリカシー無しの私の敵だ!!