桜ノ蕾


「ちょっと待って!!」


とっさに私は秀の服の袖を引いて彼を止めた。


「何だよ、どうしたんだ」


少し不機嫌そうに秀が振り返った。


どうしたと言われても止めた私が一番の驚いている。


何で秀を止めたの?


でも何だかあの場所にはお墓がないと思った。
自分の中の何かが「そこじゃない」と叫んでいるようなそんな感じ。


「ええっと、何て言うかあそこのお墓じゃない気がしたりして……」

「はぁ? 何言ってんだよ」


ごもっともです。
自分でも何が言いたいのか分からない。

でも義長のお墓はそこじゃない気がするんだ。
どうしてかは分からないけど……



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