桜ノ蕾
そんな私に秀は呆れたようにため息をついた。
居た堪れなくなった私はキョロキョロと周りを見回す。
すると、端っこに3つのお墓が建っているのを見つけた。
「あそこだ……」
「え? む、村上?!」
私は吸い寄せられるように歩き出した。
たどり着いたのは先程とは比べ物にならないほど狭く、ひっそりとしていた。
よく探さないと見落としてしまう所に建っている3つの小さなお墓は、どこか悲しそうな印象を感じさせる。
でも、ここが大内義長のお墓だと思った。
「何だ、ここ?」
追いかけて来た秀は小さなお墓を見て呆然としている。
「ここがお墓だと思う」
「は? こんな存在感ないところがか?」
さっきの看板で義長は大内家最後の当主だと書いてあった。
でもこのお墓からは当主の威厳みたいなものは全く感じられない。
「俺ちょっともう一回看板見てくるわ」
そう言って駆けていった秀を横目に見ながら私はお墓の前にしゃがんだ。
初めて来たはずなのに凄く懐かしい。
私は静かに目を閉じて手を合わせた。