混沌の彼方

意外にも

僕が生きている短い間には

思い出しきれないほどたくさんのことがあった。


毎日を過ごしている時には

まったく気付かなかった。


僕が知らないうちに

僕のなかには

僕の歴史が作られていて

それは僕にとって最高のものであった。



僕は夕焼けに染まってきた海を見て

僕の頬を流れていく雫を

手の甲で拭うだけで

精一杯だった。

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