小さな村の大きな話
「……良くはないが…まぁ、大丈夫だろ」
「…ありがとうございました」
「1本点滴打っておくか。手を出せ」
「……はい」
怖いのはもう身を持って体験してるから絶対逆らわない。
本当は少し嫌だけど…。
「随分大人しくなったな」
「あ、あはは…」
「俺は部屋に戻るから何かあったらすぐ呼べ。
一応点滴が終わった頃に様子見に来るから」
「ありがとうございました、佐伯先生」
「家で先生なんて呼ばれると仕事してる気になる。錦でいい。
………佐伯姓はあまり好きじゃないしな」
「えっと…じゃぁ、錦さん、で。
私の事もりんって呼んで下さい。みんなそう呼ぶから」
「わかった」
そういえば、いくら医者でも普通家に点滴なんて置いてないよね……??
大和くんだって、私と付き合うようになって徐々に家に医療器具が増えていった……。
考えているとふと1枚の写真が目に止まった。
「これ、樹ちゃん……??」
にしては大人っぽい。
そこには制服を着た佐伯先生…じゃなくて、錦さんと初等部の制服を着た女の子。
それに…ベッドの上で腕に点滴が刺さった樹ちゃんそっくりの女の人……。
この人は多分樹ちゃんのお母さんで
初等部の女の子が樹ちゃんだ。
そこにはあと三人。
白衣を着た男の人と樹ちゃんのお父さん??
と妹さん??が写ってた。
「そういえば、樹ちゃんのお母さん心臓の病気だって……」
だから、家にこんなにいろんな道具が…??
……って、あんまり人の家の事情を詮索しちゃだめだよね。
うん、よし、寝よう!!