癒し恋~優しく包まれて~
「無難に映画とかショッピングを楽しんでいるでいいんじゃない? あ、あと岩田くんのマラソンの応援に行ったこともあるというのはどう?」

「ああ、それいいね。理解ある感じで」


もちろん応援には一度も行ったことがない。健康オタクの岩田くんには全く興味がありません。

でも、恋人役を務めると言ったからにはそうはいかない。今度は岩田くんの家族について聞く。


「ご両親とお姉さんがいるんだよね。それと静岡の出身だっけ? ご両親は今日静岡から来るの?」


入社当時の自己紹介で聞いた内容を思い出す。


「うん、今夜はホテルに泊まって、明日は浅草を観光するって言うから、俺も行くことになっている」

「それ私も行った方がよくない? 行かなくて平気なの?」

「うん、三上さんは明日実家の用事があるからと言っておいたよ」

「用事? 何の用事か聞かれたら困るから決めておかないと」


引き受けたからにはちゃんとやる。疑われることなく終わらせるためには綿密な打ち合わせが必要不可欠。

架空の設定をいろいろ決めた。大丈夫かな。


「そういえば、なんでお見合いなんて話が出たの?
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