癒し恋~優しく包まれて~
「なんか向こうの娘が俺を気に入っているらしくどうしても見合いがしたいと言ってるらしくて。で、諦めてもらうために付き合っている人がいるからと言ったんだ」

見合いする前に気に入られることがあるものなのかと聞くと、見合い相手は高校の同級生で一度向こうから告白されたことがあるけど、断ったという。


「その人、まだ岩田くんのことを想っているんだね」

「なんとかして諦めさせたいんだよ。そこで三上さんに頼んでいるというわけ」

「それはなかなか難しいかもね」


振られてもまだ好きだという彼女に少し前の自分が重なる。私も振られたけど、諦めないで何年も想っていた。

それで、カズさんから結婚すると相手を紹介されて諦めた。さすがに結婚する人がいると言われれば諦めるかもしれないけど、恋人がいるではどうだろう?


「あっちの気持ちをどうこう考えるよりもまず見合いを回避させたいんだ。親までその気になったら、本当に結婚する羽目になりそうで怖い」


ぶるっと体を震わせる岩田くんは必死の形相だ。俺の一生がかかっていると言われると大袈裟にも聞こえるけど、好きでもない人と結婚させられるのはかわいそうだ。
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