癒し恋~優しく包まれて~
岩田くんは私と同じ今年の新入社員で、同じ課に配属されたけど、グループが違う。岩田くんがAグループで私はBグループだ。

入江さんはAグループのリーダーである。

岩田くんは「これ、体にいいんですよ」が口癖で何かと体に良いものをみんなに奨めている。

最初は「おお!」と感心する人も多かったけど、最近は「またか」と苦笑する人が多くなっている。メタボを気にする部長が真面目に彼の話を聞くくらいだ。


「おはよう」

「おはようございます」

「入江さん、おはようございます。これ飲みますか? 体がすっきりしますよ」

「いや、遠慮しとくわ。気持ちだけもらっとく」


岩田くんがグリーンスムージーを飲もうとコップを掲げたとき、入江さんがフロアに入ってきた。岩田くんは、すかさず入江さんにそのコップを向けていた。

しかし、入江さんはすかさず断る。


「欲しくなったらまだあるのでいつでも言ってくださいね」


誰も欲しいと言っていないけど、断りを入れてから岩田くんは一気に飲み干した。上下に動く喉仏をぼんやりと見ていると、背後から肩を叩かれる。
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