癒し恋~優しく包まれて~
「柊花ちゃん、どうしたの? 険しい顔してるわよ。何か困ったことでもあった?」


オフィス裏通りのカフェに入って、ランチプレートをオーダーしたが、水の入ったコップをただ眺めているだけの私を萌絵さんが心配そうに見てきた。

ハッと顔をあげる。


「ごめんなさい。ちょっと考え事をしてしまって」

「ううん、謝らなくていいよ。なんか悩みがあったら言ってね。私なんかじゃ頼りにならないかもしれないけど」


頼りにならないなんてとんでもない。萌絵さんほど頼りになる人はいない。

優しく心配してくれる萌絵さんに相談してみようかな。恋愛の話はしたことがないけど、適切なアドバイスをしてくれるような気がした。

ポテトサラダを一口食べてから、フォークをプレートに置く。

私の動きに萌絵さんまでが動きを止める。


「あの、お付き合いをしていない人を自分の部屋に入れるのって、相手はどんなふうに捉えると思いますか?」


萌絵さんは目をぱちくりさせて、水を飲み口の中を空にした。私もつられて同じように水を飲む。
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