癒し恋~優しく包まれて~
入江さんを見えなくなるまで見送ってから部屋に入り、ソファの上で足を抱える。

エリカさんも入江さんと親しそうだった。『俊也』『エリカ』と名前で呼ぶのはそれなりの関係だからかな。

進士さんはちゃん付けで呼んでいたから、知り合いという感じだったけど。

あのときも気になってはいたけど、気にしないようにしていたからエリカさんの存在を忘れていた。入江さんからエリカさんの名前を聞かされなければ思い出すことはなかった。

でも、エリカさんがいるのを気にして別の店にしようとすることが……なんだか怪しく感じてしまう。何事もなければ、気にすることではないと思うのに。

エリカさんのことは気になるけど、それよりも金曜日の夜を一緒に過ごせることが嬉しかった。

こんなに心が弾むのはカズさんと会うとき以来だ。かなり惹かれているのを認めざる得ないのは自分でも分かっている。

あんなにも好きだったカズさんへの想いよりも入江さんに対しての想いのほうが強くなっている。

金曜日になるのが待ち遠しく、チェスト上の卓上カレンダーを見た。
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