【完】もっとちょうだい。
「それは慶太くんの場合じゃん……」


「うん、わかる。慶太くんはそうだよね……」



芙祐はベッドに寝転んで、楽しそうにスマホを握っている。


なんなん、さっきから。



「誰と電話してんの」



「……!」



スマホ、なんで一瞬で切ってんの?



「は?」


「電話してた……」


「誰と」


「け……い」


「あ、いい。もういいから」


聞きたくない。そいつの名前。


「おやすみ」


「ちが!ヤヨ……」



ドアを乱暴に閉めた。
さっきの芙祐の三倍くらい荒く。



……は?


なんで、彼氏と喧嘩して
元カレと楽しそうに電話してんの?



「ちがうから、間違ってかけちゃったの」



芙祐が追いかけてきて言い訳するけど


「いや、意味わかんない」


「間違ってかかっちゃったの。それだけ」



めちゃくちゃむかつくから。



こっちは芙祐のことしか考えてなかったのになんで元カレと楽しそうにしてんの?



「……わかった。もういいし、寝よ」



「うん……」



つけた電気を消して、寝ようとしたのに、芙祐は部屋から出て行かない。



イライラしてるけど、芙祐に出て行って欲しくない気持ちももちろんあって。



だから、早く寝にいけとは言えず
俺はベッドで寝たフリだけしてた。




立ち尽くしてる芙祐は、



「ヤヨ……あたしのこと好きなんだよね?」



そんな質問、二回目?




好きじゃなかったら、
こんなに腹たってない。今。




「……何回もしつこい」



「……ごめん」




芙祐は「おやすみ」と部屋から出ていった。



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