どんな君でも愛してる
 その日は、barに王子さま四人組が来る水曜日だった。

 瑠璃と響介の逢瀬の日でもある。

 barは女性客で溢れており、いつも来る奏子も閉店間際に来るからと言い残し、一旦帰っていった。カウンター席も空いていないためとても中央でピアノを弾くことも出来ず、安東から休みを貰った瑠璃は、部屋でのんびりしていると、めぐみからお誘いがかかったのだ。

『暁です。奏子先輩も閉店間際に来るみたいなんですけど、ぜひ一緒にどうですか~?一緒に飲んでみたいし!待ってますね!』

 瑠璃は、奏子と話したいし、響介にも逢いたい気持ちに勝てず、何故彼女に呼び出されたか分からなかったが、誘いにのった。

 エレベーターに乗ってbarに行く途中、奏子と鉢合わせし、二人で向かうことになった。

「私服のあなたも綺麗ね。」

「えっありがとうございます。」

 いつも奏子に逢うときはドレスのため、私服の瑠璃は恥ずかしそうにしながらエレベーターの外の夜景を眺めた。

「もう、頻繁に連絡きて嫌にやっちゃう!」

 瑠璃は、"んっ?"と奏子を見る。

「暁めぐみよ、もう着きますか?って。いつもいつもメール攻撃ひどくて…うんざりしちゃうわ。」

 困りながらもメールを返す奏子を面倒見がいいなぁと思っていると、エレベーターがbarについた。
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