誰かのための物語

6

 しかし、あのゆびきりの約束は果たされることはなかった。


少し前に見た夢の中でも、同じような気持ちになったっけ。


約束をした公園に、女の子が現れなかったとき。


その後の夢で私は、病院で彼女と再会することができた。



彼女は私に隠していたけれど、ずっと病気だったのだ。


彼女が治るためには手術が必要で、成功率は高くはなかった。


それは、彼女が教えてくれる物語の展開と似ていた。


だからそこで私は、物語の男の子と同じ行動をしたのだと思う。


それは、勇気を出して一緒に戦うということ。


物語の中の男の子は、大縄跳び大会で優勝することを約束して、『一緒にがんばろう』と言った。


私は、サッカーの全国大会への切符を勝ち取ることを約束して、

女の子は、勇気を出して手術を受けることを約束した。



夢はその後数日で終わりを迎えた。



目が覚めたとき、

『今ので全ての夢が終わったんだな』

と確かな感覚があった。




そして、私の頬は涙に濡れていた。



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