恋人は魔王様
パチッ

その揺らぎに乗じて、ジュノが指を鳴らす。



直後。

私にはもうすっかりお馴染みになった例の風が吹き、目の前は、残念ながらこれまたすっかり見馴れた地下牢にも似た魔界の城の一室になっていた、のだ。



し、信じられない!

私たち、結局何も解決してないどころか、他人の家の玄関ぶっ壊して不法侵入した挙句、砂のように姿を消した変質者じゃない!


私は力が抜けてガクリと座り込んでしまった。



だから、今、目の前に誰がいるかなんて全く見ないまま。
差し伸べられた手をなんとなく掴んでしまったの。


仕方ないじゃない。
条件反射よ。

明日からパブロフの犬って、呼んでもらっても構わないわっ。
< 135 / 204 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop