恋人は魔王様
「で、お名前は?」

とりあえず、(かなりイヤイヤではあるが)私の名前は全て伝えたので、今度は向こうが名乗る番だ。

「そんなに知りたい?
 ユリアは情熱的だね」

……なんて甘く囁かれたとしても、めげてはいけない、はずだ。


運転手に車から降りることを命じ、「俺の命に関わるからほかの人には内密に」、と、低い声で囁いて、彼は私の耳元で名を名乗った。


……………


確かに、名乗った。


それは、初めて耳にする響きの言葉だった。
あるいは、勉強を一切せずに受けた外国語のヒアリングテストにも似ている。





つまり。




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