恋人は魔王様
「……」

それを見た私は唖然として言葉を失った。

だって、アスファルトの道路に跪いてんだよ?

残念ながら、映画や舞台でなく、ごく日常で跪いている人を見かけたのはこれがはじめて。

「ああ、ご苦労だった。××××」

『魔王様』こと、キョウがねぎらいの言葉をかける。

ちなみに、最後の言葉はきっと名前を呼んだのだろうが、先ほどと同様に聞き取れなかった。


パチっと、キョウが指を鳴らす。
そういう仕草一つがサマになってかっこいい、ことはまあ認めてあげなくもない。




その刹那。

強い風が吹き、その直後。

車も運転手も私の視界から消えていた。

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