恋人は魔王様
嘘っ!
何、こんなのってあり?


それは、あまりにもあっという間で、むしろ現実味がなかった。

・・・というか、心は確かに置いてけぼりだったけれど、身体はあり得ないくらい満たされていた。

初めての痛みさえ感じさせないような、甘い交わり。

「こうしたらもう、人間界に戻れない、なんて言わないよね?」

魔法に掛けられたように、おとなしくベッドに横たわった私が関係を結ぶ前に口にしたのはそのことだった。

キョウは呆れたように笑う。
心を強引に鷲掴みにするような、魅惑的な顔で。

「小説の読み過ぎ、だな。囚われのお姫様ではあるまいし」

「違うの?」

「ユリアは俺の恋人だって言っただろう?
恋人っていうのは、好きな時に逢って好きな時にセックスする。
決まってるだろう?」

キョウは腹が立つほど綺麗な顔で、甘く微笑んだ。

・・・だいたい、その定義どっか歪んでない?
っていうか、忙しかったんじゃなかったっけ?

なんて、言う前に私の唇はキョウに浚われていた。

身体までも。





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