[BL] ずっと君の側に
 恐る恐る、ドアを開けると

そこには――。



「ニャー」



ニャー?



「あっ、ククル出ちゃダメだよ。
あれ、京極君」


「あっ、千歳。
委員長さんちの二匹の猫可愛いぞ」



なんだ、猫だったのかよ。



「なぁ、千歳。
白猫のシルクと三毛猫のククルって、
言うんだって。
肉きゅう、ぷにぷにで可愛い」


「本当に、こんなこと初めてだよ。
いつも、誰か来ると直ぐに逃げちゃうのに、こんなになでなでしても嫌がらないなんて」



とんだ、俺の勘違いだった。



「ほら、千歳可愛いぞ」



白猫を抱き上げながら、笑顔でこっちを向く、政晴の方が可愛い。



「あぁ、そうだな」



部屋に入り、政晴の近くて座り込んだ。


猫を撫でる政晴は、とても楽しそうであり、優しそうな顔をしている。


そんな姿を見ると、つい、撫でたくなってしまう。



「なんだよ、千歳、撫でるなよ」


「猫よりかお前を撫でた方が癒される」


「なんだよ、それ」



嫌じゃないからか、俺の手を振り払おうとしない

政晴が、可愛くてたまらない。



「撫で過ぎだ」


「わるいわるい」



撫でるのを止めた。



「あっ、政晴。
手、引っ掻かれたのか」


「あぁ、少しね。
でも、放っておけば時期に治るだろ」


「かすり傷を甘く見てると後で痛い目に会うんだぞ」



引っ掻かれた左手をもった。



「あっ、本当だ。
私、薬箱持ってくるね」


「うん、頼むよ」



実川さんが部屋を出ていくと、
俺は、政晴の手を離して、ハグをした。



「ぅん、どうしたの?」


「いや、何か、ちょっと……」



変な疑いをかけてしまった。


それほど、
俺が考えることは政晴のことばかりだ。



「何か、千歳。
小さな子供みたいに、甘えん坊さんだね」



本当は、そんなこと言われたら、直ぐに言い返す所だけど、

政晴が、紡ぎ、発する言葉一つ一つに
愛を感じるから、何でも嬉しく感じてしまう。



俺は、

政晴のことが愛し過ぎる。


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