[BL] ずっと君の側に
俺たちは、近くにある喫茶店に入り、話すことになった。



席につくと、ポケットから一枚の写真を取りだし、俺に渡してきた。


それを、受け取って、見てみると――


俺と同じ高校の制服を着た

四人の男女の姿があった。



右から見ていくと、


加奈子さんと秀太さんだろうか。
今の面影がある。


秀太さんの隣にいる男の人は、どこか、俺に似ていて――、

そのとなりに寄り添うように、母は腕を組んでいた。



「あの、この母の隣に居る人は誰ですか?」


「戸崎 太陽(トザキ タイヨウ)

君のお父さん」


「えっ」



父の顔は知らなかったけど、秀太さんが言った通り、瓜二つだと思う。



「太陽とは幼馴染みで毎日のように一緒にいたよ。

名前の通り、太陽みたいに明るくて活発な奴だった、皆の中心にいた」



父のことは、

全くと言っていいほど知らない。


知ろうとも思わなかった。


それほど、俺は、人にも自分自身にも興味を無くしていたんだ。



「そんなアイツが大好きだった。
何をするにも、一緒にいた。

居心地が良くて、楽しくて、いつのまにか、好きになってた」



えっ、今好きって――。



「まぁ、親友って関係壊したくなくて、告白はしなかったけど、初恋は、甘くて酸っぱいものだしね」


「でも、そんなに好きだったんですね」 


「うん、今の職業に就いたのも太陽が、

『秀太なら、きっと沢山の人を幸せに出来るよ』

って、言われて、今の事務所に入るって決めたくらいだから――。

どんどん好きになっちゃって、でも、アイツが彼女が出来たって嬉しそうに報告してきたときは、スッゴく落ち込んだ。

全然、喜べない上、  

『彼女出来たら、お前に一番最初に言おうと思ってた』

なんて、言われて、更にショック受けた」



秀太さんは、俺の方を見ていた視線を下にはずして、また、話始めた。




「最初はさ、十数年、ずっと一緒にいる俺と、出会って、一年も充たない奴にアイツを取られなくちゃいけないんだって、嫉妬してた。

けど、円ちゃんは、太陽が大好きで、周りにも気がつかえて、助けを求めてる人を放っておけない子だった。

嫉妬している俺に対しても、

『きっと私に出来ないことがあるからその時は、太陽君のこと、宜しくお願いします』

って、深々と頭下げられた。

その時、自分の醜さを痛感した


それで、この二人を見守っていこうって決めたんだ」


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