この恋が罪だとしても



「その顔ムカつく」

「やだなー、こんな色男にムカつくだなんて」


ヘラヘラする八雲に、私は呆れた。

八雲は、いつもこの調子で、変わらないなぁ……。


私の後を追いかけてくる八雲と、音楽室を出る。

そして、2人で3年の教室前の廊下を歩いていると……。


「キャーッ!!」


目の前で、誰かが盛大に転けた。

あれ、何だろうこのデジャヴは……。

ちょうど私の教室の前で転けたその人には、見覚えがある。


「……北園さん……大丈夫?」

廊下に突っ伏した北園さんの前に、私はしゃがんだ。

「うぅ……ごめんね、ありがとう雨音さん」


――ズキンッ。

北園さんが、私にありがとうという度に、胸が締め付けられて苦しくなる。


むしろ、こんなことくらいしか出来なくて……本当にごめんなさい。



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