この恋が罪だとしても


「ねぇ梓、私ね……本当は、梓のことが怖かった」

「それは……」


私が、雪乃の記憶を奪ったから……?

それに、ズキズキと胸が痛む。


「梓に嫌われちゃったらって……怖かったんだよ」

「え、私に嫌われるのが怖かったの?」


聞き返せば、雪乃は頷く。


「傷つけてしまった人だから……こうして仲良くなって、また失うのが怖かった」

「あ……」


それは、私が雪乃や泉くんに抱いてる気持ちと同じ。

好きになってしまった後、私の中で大きな存在になった後に失うことが怖いんだ。


「でもね、私はどんなに怖くても……失うことより、今の梓との絆を、これからの楽しい未来を信じたいんだ」


あぁ、そっか……。

怖いのは、私だけじゃなかったんだね。

だけど……歩み寄ろうとしてくれてる。

それなら、私も勇気を出さなきゃ……。


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