この恋が罪だとしても
「泉くんと、出会わなきゃ良かった」
「っ……雨音……」
「そうすれば、私は泉くんたちを……っ」
泣きそうになって、私は口を噤む。
今、何かを言ったら……きっと泣いてしまう。
みっともなく、泉くんの前で泣いてしまいそうだった。
「……傘、返してくれてありがとう。それじゃあ、教室戻るね……っ」
「あ、おい雨音っ……」
余計なことを、たくさん話しすぎた。
もう関わらないって決めたのに、泉くんと話せたことが嬉しいなんてまだ思ってる。
いつまで経っても意志の弱い自分が、もっと嫌いになった。
こうして、私は泉くんの呼び止めるような声にも足を止めることなく、逃げるように音楽室を飛び出した。