君は君のままでいて
「桜の妖精だって言ったのは紳ちゃんよ?オレはそこからとっただけ。」
孝行のにやけ顔がムカつく。
「オレがこの学校に進学しようって言わなかったら、会えなかったんだよ?」
さっきから何が言いたいんだ。
恩着せがましい奴。

中三の時、俺には進学したい学校がなかった。
入れればそれで良い。
ある日、進路希望調査書の期日が間近に迫り俺は迷っていた。
そしたら、孝行が言ったんだ。
「西高でしょ」
勝手に高校名を書いて、にやりと笑った。
「絶対おもしろいから」
「なんでそんなに自信満々なんだよ」
西高には特徴がない。
進学校でもないし、部活もこれと言った強みはない。通学距離は俺の家からは自転車で20分くらいだろう。
近くもないが遠くもない。
もっと近くに高校はあるし、わざわざ西高を選ぶ理由もない。
孝行は何が気に入ったのだろう。
「オレがいるから」
は?
「運命の出会いがあるかもよ?」
「っんだそれ」
< 2 / 2 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

ねぇ、笑って?《詩集》

総文字数/2,084

詩・短歌・俳句・川柳13ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop