雨宿りの法則
2人で静かに眺める雨の公園。
四阿の屋根を伝って落ちる雫は、他の雨音よりも音色が高くて綺麗だ。
隣に彼がいるだけで安心した。
それは、これまで1人だった私にとって大きな変化。
ポツン、と彼がつぶやくように言った。
「1年のうち雨の日ってそんなに無いけど、響さんと会える時はいつも雨が降ってて。特別な日みたいで、俺は好きです」
「特別な日……」
「知らなかったと思うんですけど、実は俺も雨男です」
意外な話だったので、びっくりして顔を上げる。
その瞬間、敬佑くんに手を引かれた。
力強いその手に従って、四阿を抜け出して雨の公園へ連れ出される。
全身ずぶ濡れ確定だ!と慌てて目をつぶったけれど、雨は落ちてこない。
「………………あれ?」
私が空を見上げると、あんなに降っていた雨が上がっていた。
ほんの少しポツポツと落ちてくるくらいで、あっという間に雨雲が引いたことを知る。
「ね?雨女と雨男を持ってしても、いつかはこうして晴れちゃいますから」
「…………本当は私たち、晴れ男と晴れ女なのかもね」
「そういうことです」
雨が上がったと同時に晴れやかな心が奥の方から湧き上がってきて、清々しい気分になった。
何かから解放されたような、壁が消えたような。
「靴、ドロッドロね」
履いていたパンプスが泥濘に沈んで中に泥水が染み込んでくる。敬佑くんのスニーカーも同様だった。
でもそれさえも気持ちよかった。
自分が晴れ女だなんて発想、したことがなかった。
「手、つなごう」
私が手を差し出すと、敬佑くんはすぐにその手をぎゅっと握って微笑んでくれた。
彼の青空みたいな瞳は、相変わらず澄み渡っている。
それだけで良かった。