もう一度だけでも逢えるなら
「口の周りのご飯粒を取って」

 マヨネーズトーストを食べているけど、お米を食べていることに。

 かなり無理があると思うけど、新婚ごっこに乗ってくるかもしれないから。

「パンを食べていますよね」

 冷静に言われてしまった。

 私は虚しさを覚える。

 それでも、新婚ごっこを続ける。

「おはようのキスをして」

「朝から何を言ってるんですか」

 あっさり交わされてしまった。

 私はまた虚しさを覚える。

 裸にエプロン姿になれば、少しはその気になってくれるだろうか。

 そんなことを考えているうちに、水樹が立ち上がった。

 そろそろお仕事に行く時間。

 いい加減、虚しくなってきたので、今朝はここまで。

 また夜にチャレンジしようと思う。

「十時までには帰ります」

「出来るだけ早く帰ってきてね」

「それでは、いってきます」

「いってらっしゃい」

 水樹は六時丁度に出かけた。

 お出かけのキスができないのも残念。

 残念なことだらけだけど、今日からまた新たに気持ちを入れ替えて、一日一膳。

 今夜のご飯は、二膳。お米を炊いて、愛のハンバーグでも作ろうと思う。
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