冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
「なんだ?」

「いえ、シャルヴェさまにもわからないことがあるのですね」

「わからないことだらけだぞ」


彼はそう言うと、私の耳元に唇を寄せる。


「特にお前のことがな」


さっきまでとは違う甘い声のシャルヴェさまの囁きに、背筋に電流が走ったような衝撃を受ける。
そして、まるで『お前のことを知りたい』と言われているかのような錯覚に陥ってしまった。

ううん。これは錯覚よ。

私は暴走しそうになる自分の気持ちにブレーキをかける。


「だからなんでも言え」

「はい。ありがとうございます」


私がもう一度お礼を言うと、彼は優しく微笑んで髪を撫でてくれた。


こうしていると、冷酷非道な王太子の顔などどこにもない。

私はシャルヴェさまの優しさに触れるたび、どうしようもなく心が奪われていくのを感じていた。
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