冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
「大変見事な剣さばきだったとお聞きしました。国王以外の側近は傷つけることなくとらえたようです」


私はそれを聞いてヘナヘナと座り込んでしまった。

シャルヴェさまは、私の気持ちを最大限に汲んでくださったんだわ……。


「リリアーヌさま」


バスチューが慌てて私を支えてくれる。
しっかりしなくちゃ。


「大丈夫よ。それで王太子さまはご無事なのね」

「はい。先頭に立ちきり込んでいかれましたので、多少のケガはなさっているかもしれませんが、勝利宣言もなさいました。間もなく帰還されます」


そう言った兵士も、どうやらケガをしているらしい。
目の前でガクンと崩れ落ちた。


「バスチュー、彼を中に運んで」

「はい」


私はこぼれてきた涙を拭い、バスチューに指示を出す。

これからが私の出番だ。
泣いている暇はない。
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