冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
「コール。水とパンを持ってきて」

「かしこまりました」


あらかじめ整えてある大広間に兵を運び、鎧を脱がせ、傷の有無を確認する。


「バスチュー、声をかけてある医者をすぐに集めて」

「はい」


もうすぐ軍が帰ってくる。
大量のケガ人も予想される。
万全の態勢で迎えなければ。


「何ヶ所か切り傷があるわ。薬草をつけるからちょっと我慢して」

「はい。ありがとうございます。あっ……」


左足の傷に薬草を塗り込むと、しみたのか兵は顔をしかめる。


「大丈夫?」

「はい。あの……あなたさまは?」


女が他の者を動かしているのが不思議だったのかもしれない。
兵は首を傾げながら尋ねてくる。


「私は、王太子さまの妃となる者です」

「王太子さまの!? 申し訳ありません!」


横たわっていた兵は突然起き上がり、慌てふためき頭を下げる。
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