冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
「医者は……。すぐに治療を」

「私のことはお気になさらず」

「そんなわけにはいきません。とにかく中に運んで」


ヤニックにそう伝えると、彼はバスチューを抱えて開いた門の中へと足を踏み入れる。
そして私も。

すると、目の前に現れたユノヘス国の王宮は、同じ形に形成された石を積み上げられて作られていて、丁寧に作られた建物だとひと目でわかった。

しかも、サノワ国の王宮より数倍は大きい。

北の方角には高い塔がそびえたち、ユノヘスの旗が風にあおられている。

あまりの立派さに愕然としていると、バスチューの膝がガクンと落ちた。


「バスチュー!」

「申し訳ございません。大丈夫です」

「強がらないで。あなたはケガ人なのよ?」


ちっとも大丈夫じゃないじゃない。

私はその場で彼の腕に巻いてあった布を取り、傷の具合を確認しようとした。
すると……。
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