冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
「サノワから来た者か?」


突然背後から低い声がして、ビクッと震える。


「はい」


私は振り向いて返事をした。

するとそこには、美しい金髪の髪を風になびかせ、狼のような琥珀色の目を持った大きな男がいた。

彼の鼻筋はスッと通っていて高く、眉は凛々しく、歳の頃三十といったところだろうか。
がっしりとした体は筋肉質のように見え、背はゆうに百九十センチほどもある。

圧倒的な存在感を放つ男は、いったい誰?


「リリアーヌ姫はどこに?」

「シャルヴェさま、こちらがリリアーヌ姫でございます」


バスチューがすぐさま跪き、首を垂れながらそう口にした。

彼が、王太子さま?


「この者がリリアーヌだと?」


王太子さまの鋭い視線が、私の頭から足先まで犯す。


「女がひとり馬に乗って現れたと聞いたが……」

「はい、私です」
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