柏木達也の憂い

「柏木」

そう部長に呼ばれ手招きをされて、デスクに向かうまで俺の心臓はドキドキしっぱなしだった。コンペの結果がでる今日、仕事をしているふりをしながら、ずっと部長のデスクから目が離せなかったのだ。いつ電話が入るだろう、と。

緊張しながら向かった先で、じっと目を見られる。居心地が悪く、早く結果をしりたい、そう焦れた時

「おめでとう」

両手で握手をされた。

「ほんとですか!ありがとうございます」

ぎゅっと部長の男くさい手を握り返して、そう言った後は、よっしゃー、思いきり叫んでいた。

その騒ぎを聞きつけた同僚たちが俺のいる部長のデスクに近づきながら

「なに、どうしたー?」なんて聞いて来てる。

「柏木、このコンペとったんだ」

部長がさらっと告げると、一瞬フロアがしーんと静まり返った。

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