メガネの王子様
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私はなんとか朝のSHRまでに教室に戻れた。

席に着くとすぐにチャイムが鳴り、担任の先生が教室に入ってきた。

陽葵も健ちゃんも何か言いたそうに、こっちをチラチラと見ている。

ーーー結局、桐生の話って何だったんだろう?

「少しお時間いいですか?」って連れ出されて、何も話す事なく、ただ桐生の耳が赤くなるのを見ただけだよね?

まぁ、アレは可愛かったけど///

今日の桐生は今までとは少し違う様な気がする。

爽やかでイケメンのオーラが漏れてて、言葉遣いも2人の時はモサ眼鏡なのに敬語じゃなくなってたし…

これってーーー

信用してくれてるって思ってもいいのかな?

そうだとしたら、なんだか凄く嬉しいな///

イケメンオーラが漏れるのは問題有りだけど…ね?

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SHRが終わり、陽葵と健ちゃんが私の席に早速やって来る。

「桐生、何の用だったの?」

陽葵が私の机に頬杖をつきながら聞いてきた。

「何って…別に。」

「アイツ、話しがあって連れ去ったんじゃねーの?」

「うーん…特には?」

「…ふーん。」

と健ちゃんが不機嫌な顔をしながら言った。

「健ちゃん…何か怒ってる?」

私が心配そうに見上げると、健ちゃんは私の髪をクシャクシャとして

「怒ってないよ。」

と言って自席に戻って行った。

「ねぇ陽葵、最近の健ちゃんって、ちょっと変じゃない?」

「そうだねぇ、健ちゃんも何か気付き始めたのかも知れないね?
まぁ、今は気持ちの整理が付いてないだけだから許してあげて。」

陽葵も意味不明な事を言う。

気付き始める?

気持ちの整理?

全く意味が分からないけど…

「…うん、分かった。」

健ちゃんの事を知り尽くしている陽葵の言う事だから、きっと間違ってないはず。

「それよりさぁ、萌香。桐生とはこのままでいいの?」

「…うん。

失恋したと思ってたのが、特別な存在って言ってもらえて…私、嬉しかったんだ。

しかも、桐生は自分の過去も私に打ち明けてくれた。

これって信頼されてるって事だよね?

それ以上を求めるのって、なんだか欲張りな気がするんだ。」

「はぁ…、萌香はもっと貪欲になってもいいと思うんだけどなぁ。
まぁ、萌香がそれでいいなら何も言わないけどさ。」

「心配してくれてありがとう。」

正直、「彼女」という立場になりたい気持ちは心のどこかにあるんだと思う。

でも、今は桐生の隣に居れるだけで私は幸せなんだ///


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