甘い媚薬はPoison
疲れているのに私をなだめようとする蓮くんは、大人なんだと思う。
それに比べて私は……自分のことしか考えないで、勝手にここに来て……。
こんな子供な私を彼が相手にするわけない。
現に子供扱いだものね。
痛い現実を知って胸が苦しくなる。
「……明日も……仕事なのに……邪魔……して……ごめんなさい」
嗚咽を漏らしながら謝って、蓮くんの胸に手をつき起き上がろうとすると、彼は両腕を伸ばして私を腕の中に閉じ込めた。
「だから泣くな。お前に泣かれるとどうしていいかわからなくなる」
ぶっきらぼうな蓮くんの声。
でも、彼の胸は温かくて、しばらくじっとしているうちに少し落ち着いてきた。
「……もう大丈夫だから。帰る」
きっと私の目は腫れてて酷い顔をしているだろう。
泣き顔を見られるのが恥ずかしくて蓮くんから顔を逸らしたまま抱擁を解こうとすると、突然身体が反転して彼に組み敷かれた。
「……蓮くん?」
訳がわからなくて目を見開いて蓮くんを見る。
「お前は俺をどうしたいんだよ?勝手に自己完結するな!」
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