甘い媚薬はPoison
かく言う私は、岸本愛梨。二十二歳、独身。身長百五十六センチ、髪は天然茶髪ロングで、目は二重で唇は小さく童顔。化粧をしていないと中学生に間違われる。
「無理。それに、会社では『朝比奈さん』と呼べ」
蓮くんの冷たい声が私の耳に届く。
だが、これで落ち込むような私ではない。
彼がつれないのはいつものこと。
「じゃあ、お弁当だけでも受け取って。早起きして作ったんだよ」
私は保冷バッグに入れたお弁当を差し出すが、蓮くんは見向きもしない。
「いらない。お前の弁当食って死にたくない」
私の胸にズキッと突き刺さる蓮くんの素っ気ない返事。
幼馴染みの彼は、私が料理が出来ないのを良く知っている。
私は過去に父にカレーを作り、病院送りにしたことがあって、その場に彼も居合わせたのだ。
「そう言うかと思って今日は全部冷凍食品にしたんだよ」
私だって気を遣っているのだ。
ニコニコ顔で言うが、蓮くんは私に鋭い視線を向けた。
< 4 / 124 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop