甘い媚薬はPoison
思い切ってスマホの電源を入れると、メッセージはないが蓮くんから着信が一件あった。
「……七時三十六分にかけてきた」
それって……つまり……私と一夜を過ごしたことを覚えてるってことだよね?
電話で私に何を言おうとしたのだろう。
「……昨夜のことは忘れてくれとか?」
自分でそう口にして酷く落ち込む。
スマホをポイッとベッドに放り投げると、ベッドの上に腰を下ろした。
すると、母がプリンの入った箱を持って部屋に入ってくる。
その箱は見覚えがあった。
私が好きな『コロコロ亭』のプリンだ。
蓮くんは私がここのを好きなのを知ってて買ってきてくれたのだろう。
私のことなんて放っておけば良かったのに……。
どうしてこういう時に優しくするのよ。
蓮くんは……狡い。
母に渡されたプリンを口にする。
ちょっぴり苦くて……甘い。
蓮くんの優しさにじわりと涙が込み上げた。
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