甘い媚薬はPoison
「私のせい?自惚れないでくれる?でも、社長である朝比奈さんの足を引っ張らないでよ。目障りだわ」
佐藤さんは憎らしげに私を睨み付ける。
いつもの私ならカチンときて反論したかもしれないが、今日の私は「本当にすみませんでした」と彼女に謝り続けた。
悪いのは私だ。
蓮くんに媚薬使って抱いてもらって……その罪悪感で体調崩して……みんなに迷惑かけて……。
「あなたみたいな人が一番ムカつくのよ。早く辞めて欲しいわ」
佐藤さんは吐き捨てるように私を罵ると、社長室に行ってしまった。
もう私の顔なんか見たくもないってことだろう。
ゆっくりと頭を上げるが、すぐに自席に戻る気になれず給湯室に行きコーヒーを入れる。
「……佐藤さんが私にムカつく気持ちもわかる」
好きな人を追いかけてここに就職したけど、私の考えが甘かったとしか言いようがない。
恋愛を仕事に持ち込むなんて、学生気分が抜けていない証拠だ。
ここにいる人達は有能な人達ばかりだし、私のように不純な動機で働いてる人間は軽蔑されても仕方がない。
私は蓮くんの側で働きたい一心だったけど、蓮くんにしてみれば私の存在ははっきり言ってうざかっただろうな。
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