未来(あした)が来るなら、ずっとそばで笑ってて。

俺は、自分の中でとても大切な何かが壊れて崩れてゆくのを感じ取った。



悲しくて悲しくて、泣きたくて堪らないのに、何故か涙が出てこない。


胸の中にぽっかりと空虚な隙間が出来たみたいで、俺は室温とは関係なく寒いと感じた。
 




俺の胸に身をゆだねて、まるで眠っているかのような安らかな表情を浮かべている咲雪。

その口元には、微かに笑みさえ浮かんでいる。


 
声をかければ今にも目を覚ましそうなのに、もう二度と目を覚ますことも俺に笑いかけてくれることもない。
 


俺は、もうだいぶ冷たくなってきている咲雪の額に軽くキスをしてから、その体をそっとベッドに横たえた。
 

圭祐がそっと近づいてきて、咲雪の頬を優しく撫でる。

圭祐はベッドの横に片膝をついて、咲雪に語りかけた。

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