信じることを諦めた少女の生きた道


男を殺してその男の死体を見下ろしていると
何処からか、桜の花びらが舞散っていた

ふとその方向を見ると少し山のようになった
坂上の方に大きな大きな桜の木が実っていた…


自然に体がそちらを向く…そう、無意識にだ

なにかに引き寄せられる様に桜の木の下へと歩いていた。


「綺麗……」


夕桜はここまで綺麗に咲き誇る桜の木を今までに見た事があっただろうか…


弱く儚いはずなのに何処までも強く、そう力強く咲き誇る桜の木…



私とは違う……


いつしか母と父が仲がよかった時に…

私をちゃんと見ていてくれた時に言っていた言葉を思い出す

『桜の木のように強く咲き誇って』


『お前は俺らの誇りだ!』



“夕桜、愛している”


ふと、頬を生暖かな物が伝う
そこで初めて自分が泣いているのだと気づく。



「ッ……はは、いつ、以来だろ………泣くのなんて」



私には、もう涙なんて出ないと思ってた…
でもこの涙は、悲しいんじゃない…


いつもいつも少し人に優しくされれば信じていた、そしてすぐに裏切られる。

そんな自分を思い返すと…情けなくて…悔しいんだ


そう、これは…悔しさからくる涙

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