エリート上司の甘い誘惑
怒っては、泣き
泣いては、落ち込み、そして怒るの繰り返し。


今はテーブルに突っ伏して、めそめそと何回目かの泣きターンに入ったところだ。



「……寂しい」

「そうか」

「帰りたくないれす」

「じゃあうちに来るか」

「はい」

「はいじゃねえよ」



思わず素で突っ込んでしまった。



「ちょっと……藤堂さん」

「いくらなんでも部下に手を出したりするか」

「だからって店に置いて帰らないでくださいよ」



麗しいバーテンダーは、薄情に眉を寄せる。


置いて帰るわけにはいかないが、持って帰るわけにもいかない。
能天気な旋毛に向けて、げんこつの一つも落としてやりたいが、それは勘弁してやることにした。


この部下が、誰と付き合っていたのか。
思い当たるところがあるからだ。


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