イケメン御曹司のとろける愛情
 円崎さんがなにか言っているのだろう。少しの沈黙があって、翔吾さんが小さく照れた笑い声をこぼす。

「ああ、好きだよ。すごく」

 その声に頭を殴られたようなショックを受けた。

 好きだよ……って。

「人生を変えられてしまうくらいにね」

 そう言って翔吾さんは笑い声を上げたが、ハッとしたようにすぐに声を落とした。円崎さんの話を聞いているようで、しばらく黙っていたが、やがて言葉を発した。

「うん、じゃあ、また明日。楽しみにしてるよ」

 翔吾さんが通話を終えて、こっちに歩いてくる気配がする。私は目を閉じ、どうにか呼吸を整え、眠っているフリをした。

 ベッドが沈んで、翔吾さんが毛布に潜り込んできた。

「奏美さん、まだ寝てる?」

 翔吾さんがささやくように言って、私の髪を撫でる。私はさっき聞いてしまった会話が気になって、平気な顔で起きることができず、ひたすら寝ているフリをした。

 翔吾さんはしばらく私の髪を撫でていたが、やがて手を止めて言う。

「やっぱり……間違ったかな」

 間違った?
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