イケメン御曹司のとろける愛情
 せっかくだからステイトリー・ホテルの朝食を食べてみたい、なんてちょっとした貧乏根性が芽生える。でも、耳たぶの柔らかなところを唇に含まれ甘噛みされて、首筋が粟立った。

「朝ご飯より奏美さんを食べたいな」
「え……待っ」

 唇をキスで塞がれると、昨夜の熱い口づけ、甘い愛撫、激しい快感を覚えている私の体は、あっけなく彼の情熱に流された。


***


 そうしてチェックアウト時間の十一時まで濃密な時間を過ごした。昨日と同じベージュのスーツに着替えて、部屋の外に出る。ドアノブには、クリーニングが終わったドレスが専用のビニール袋に入れられてかけられていた。ビニール袋の上から見ると、しっかり染みも抜かれて元通りになっているのがわかる。

「クリーニング、ありがとうございました」
「染みにならなくてホッとしたよ。でも、冷たい思いをさせてしまってごめん」
「大丈夫です。おかげで……翔吾さんと出会えたようなものだから」

 私が言うと、翔吾さんは複雑そうな表情になった。

 なにかおかしなことを言っただろうか?
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