課長の瞳で凍死します ~伊勢編~
「霊とは限らないだろ。
 ただの俺の夢かもしれないじゃないか」

「違うと思います。 
 課長は幽霊も恋するほど、格好いいってことですよっ」

「だから、やめろ。
 笑われている……」

 周囲を気にして雅喜は言うが、真湖の嫉妬は止まらない。

「あの部屋、霊とか出ますか?」
とお茶をつぎに来たのは、真湖たちの部屋の担当の仲居さんだったので訊くと、

「いや、聞いたことありませんけど」
と言って、笑っていた。

 まあ、出たとしても、言うはずもないか、とは思ったが。

 少し考えた真湖は、
「いえ、やっぱり霊じゃないかもしれません」
と深く頷き、

「それはきっと、課長と手をつなぎたかった私の怨念ですよ!」
と主張した。

「……なんだそりゃ」
と言われてしまったが。







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