フェアリーテイルを夢見てる
そして万作さんもそこまでは望んでいませんでした。

と言いますか、目立たない場所に設置したエレベーターを日常的に使用するには、その方達にも事情を把握しておいてもらわなくてはいけませんからね。

あくまでも「一部の関係者」以外にはその部屋の持ち主である事を知られないようにするのが目的だったのです。

もちろん、その方達は皆さんプロですので、業務上知り得た情報をうかつに第三者に漏洩し、拡散するような真似はしないでしょう。

そのように、「B.C. building INC.」の一部の方と管理人さんと警備員さんは内情を理解しており、そして緊急時には三者が連携して指揮を取って、ビル内の人々が速やかに安全に避難できるよう努めるという訳です。

もしもの場合の対策はきちんとされているので、唯一の住居者である巧さんと私は安心して生活できているのですね。

ただ、階段室と52階フロアを自由に行き来できる鍵を持ってはいても、巧さんがそこを利用する事はほとんどないようです。

その機会がない、といった表現の方が正しいでしょうか。

通常、階段を使うのはあまり階数の離れていないフロアへ移動する時で、実際に巧さんは勤務中、29階と30階を往復する際はそうしているようです。

ですが、52階の場合はその必要がないのです。
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