フェアリーテイルを夢見てる
しかし、それほどのスペックの方達から見ても、「B.C. square TOKYO」の上階ワンフロアを買い占められるような人物は雲の上の存在となるようです。

いかに知念家が並外れたお金持ちで、華麗なる一族であるのかという事が如実に分かるエピソードですよね。

しかし、その身分につられて私は巧さんと一緒に暮らし始めた訳ではありません。

むしろ私の方が巧さんに選ばれた立場なのですから。

彼に出会うまでの私の人生はなかなか波乱に満ちたものでありました。

産まれてすぐくらいの時に、誰かの手によってある施設の前に置き去りにされていた私は、そのままそこで暮らす事となりました。

もちろん、父親と母親がどこの誰かなんて事は全く分かりません。

そしてその施設で生活を共にしていた、同じ境遇の仲間達と一緒に、「可哀想なこの子達にどうか愛の手を」という主旨のチャリティーイベントに参加させられ、大勢の人達と接触させられました。

私自身は赤ちゃんだったので当時の記憶は全くないのですが、巧さんが教えてくれたのです。

お父さんやお母さんが恋しかったのか、それとも入れ代わり立ち代わり現れる人々に恐れをなしていたのか、私は終始泣き通しだったそうです。

通りすがりに成り行きでイベントを見学する事となった巧さんは、そんな私の姿を見て『ぜひともこの子の力になりたい』と思ってくれたようです。
< 41 / 75 >

この作品をシェア

pagetop