死霊たちのクリスマス
彼女に噛まれた僕は意識が遠くなっていくなか

(まぁ…おっさんに噛まれてゾンビになるより、佳純ちゃんに噛まれたんなら…)

数時間後、ゾンビになってしまった僕は、他の大勢のゾンビたちとともに通りをゆっくりと歩いていた。

(まるで、ハロウィンみたいだ…)

ゾンビになったら、意識とか思考とかがなくなって、獣となってしまうと思っていたが、
僕は違っていた。でも、さっき鏡で見た僕の顔は完璧なゾンビだった。
よく見てみたら、いつの間にか左手がない。
どうやら、佳純ちゃんが食べてしまったようだ。
(佳純ちゃんが…僕を…)
特に痛みもないので、僕はなんとなく嬉し恥ずかしいような不思議な気持ちだった。

こんな状態では、学校どころではないので、とりあえず僕は家に帰ることにした。
そして部屋に籠り、今日で2日が過ぎた。

窓の外の様子に変わりはない。家の前では僕の父と母が隣の吉田さんを食べているのが見えた。
吉田さんはいい感じで脂肪が乗っていたし、そんなご馳走に向かって、ゾンビたちが集まり始めていた。

ふと僕は壁のカレンダーに目を移す。テレビもスマホも、もはや使い物にならないが、あの日から2日経ったのなら今日はクリスマスだ。

再び窓の外に目をむけた僕は思った。
(彼らは今日がクリスマスだってことを知っているのだろうか?)





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