死霊たちのクリスマス
そんなことを考えていた僕の耳に悲鳴が聞こえた。
僕がその方向を見ると
一人の青年が襲い掛かるゾンビたちを振り払いながら逃げているのが見えた。

(ああ…彼も…もう、ダメだな)

そんなふうに僕が思ったとき、

急に空から、雪が降り始めた。

こんな荒んだ世界を清めようとしているかのように、白く淡い光を反射させながら、静かに舞い落ちる雪。

すると

青年に襲い掛かっていたゾンビたちが、僕の家の前のたくさんのゾンビたちが、
皆、一斉に空を見上げた。

そして、落ちてくる雪を静かに見ていた。

まるで世界は時が止まったようだ。





やっぱり…人間って悪くない。






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