ドストライクの男
「なら、何故怒る。いつものように淡々と僕の話を聞けばいいじゃないか」
胸がざわめく……光一郎の声を聞くたび……悔しい。
「小鳥、会いたかった」
光一郎の左腕が小鳥の腰をグッと抱く。
「離して!」
「離さない!」
そして、もう片方の手が小鳥の頬をソッと撫でる。
「やっと会えたのに、もう絶対に離さない」
光一郎の唇が小鳥の両頬に落ち、そして、唇の右端にキスを落とすとニヤリと笑い小鳥の黒縁眼鏡を外す。
「君は美しい。初めて会った時からその濁りのない漆黒の瞳に魅せられている」
光一郎の声が媚薬のように小鳥を痺れさせる。
無言の小鳥に光一郎が囁く。
「前も言ったが、お前のその顔は俺以外、誰にも見せるな」
光一郎の唇が小鳥の唇に落ちる。
上唇を……下唇を……光一郎の唇が優しく犯す。