Wish



「ただいま〜」

美容の専門学校を卒業した3年前から始めた一人暮らしにも慣れて、「おかえり」の返事が返ってこないことにもなれた。

でもやっぱり言っちゃうんだよね。


チロリン

(新着メッセージ 10件)
(不在着信 14件)

スマホを開いてみると慎からの着信とメッセージが大量に届いていた。

「なんて返せばいいんだろう。」

慎とは1年半前から付き合っていた。
美容学校の先輩で、憧れの存在だった。私が卒業してから再開し、そこからよく会うようになり、慎の猛アタックに押されて付き合うことになった。

本当はプロポーズされて嬉しかった。
でも私は高校の頃病院で告げられたあの言葉…

「坂口さん検査の結果あなたの身体はとても妊娠することが難しい身体でしょう。」

これからの未来が急に真っ暗になった。

「でも、100%無理というわけではありませんが、とても難しいでしょう。」

この言葉を聞いてからもう結婚は諦めていた。

そんなことを考えていると電話がなった。

「もしもし」

「「実乃か?やっとでてくれた…」」

慎からの電話だった。

「「実乃今どこだ?話がしたい。
俺が不幸になるってどういうことだ?」」

慎は子供が大好きだった。
自分の子供は3人欲しいと言っていたのを聞いたことがある。

「ごめんなさい、それは無理。
私のことは忘れて幸せになって欲しい。」

「「おい実乃何言ってんだよ!」」

「あなたと一緒にいれて楽しかった
幸せな時をありがとう。」

そう言って電話を切った。

もう慎とは会わないだろう。
彼は去年大阪のサロンから引き抜きがあって、自分のスキルアップのために大阪へ行き東京から離れていた。

ヘアメイクアーティストのアシスタントとして東京働いている私と会おうと思わなきゃ接点はない。

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